社会保険料滞納と在留資格

日本の社会保険の仕組みは複雑で外国語での説明文書も少ないことにより、外国人材が意図しないうちに保険料を滞納してしまうことがある。外国人材の社会保険料滞納において一番大きな影響は、在留資格の審査の場面で出てくる。

在留資格審査には所謂「納税義務の履行」を求める考慮要素があり、社会保険料の納付も納税義務の一部としてその納付状況の確認が審査の一環で行われる。更に、永住許可申請では所謂「国益要件」の一つとして納税義務履行がより重要視され、実際、本人又は配偶者に滞納があると、他の要件を満たしていても社会保険料滞納だけを理由として永住申請が不許可となるケースが多い。

中規模以上の勤務先では会社が社会保険加入の手続きを行い、保険料も天引きされるので滞納となることは稀だが、以下のケースでは注意が必要である。

  • 転職の際、前職と次の職の間に失業期間が出来てしまい、その期間中、健康保険においては、天引きではなく本人が自ら手続きをして保険料を納付する必要のある任意継続被保険者になるか、又は国民健康保険に加入しなければならない場合
  • 家族滞在資格の配偶者が資格外活動許可を得て週28時間以内で適法に働いているうちに、年収が130万を超えて健康保険での被扶養者でなくなる場合。この場合、配偶者の職場での健康保険に加入できれば保険料は天引きされ滞納にはならないが、加入条件が満たされず職場の健康保険に入れない時には、国民健康保険に加入しなければならない。

どちらの場合でも関係機関から通知が来るが通知が日本語のみなので見落としがちで、滞納となりやすい。また、上記の2番目の例では滞納しているのは家族滞在の配偶者であるが、それが本人の永住申請での不許可事由となることもあるので、家族全員の保険料納付に注意を払う必要がある。

社会保険料の滞納は、現在は「在留資格審査の際にマイナスの考慮要素となる」という入国審査官に裁量余地を残した取り扱いとなっている。しかし、今後は取り扱いを厳しくして「悪質な社会保険料の滞納者に対しては、在留を認めないこと」が法務省で検討されている。日本で活躍する世界の人材は、この取り扱い厳重化に備えて、社会保険料の滞納とならぬように心掛けることが肝要である。

リンク:法務省「納税義務の履行」を含んだ審査ガイドライン
リンク:法務省・永住審査のガイドライン(「納税義務履行」が許可要件の一つ)
リンク:法務大臣の取り扱い厳格化に関する発言(平成30年11月9日 衆議院法務委員会)