このページでは、永住許可・永住権の申請に関して、以下の内容が記載されています。
永住者のメリット
永住者の在留資格を得ることのメリットには以下があります。
- 在留資格に期限がない、つまり、資格期限更新申請が不要になる
- 日本における活動に制限がない
- 日本での定住性か社会的に認知される。
無期限の在留資格
一旦、永住者としての在留資格を得ると、無期限の資格であるため更新申請が不要になります。但し、以下の点にはご注意ください。
- 在留カード自体の更新は必要:在留資格そのものは無期限でも、在留カードそのものには7年(又は16歳の誕生日まで)の期限が付きます。詳細は 法務省・在留カードの有効期間の更新申請 をご覧ください。
- 永住者資格の取消しはあり得る:日本国籍に変わる帰化と異なり、永住者といえども国籍は本国のままです。つまり、永住者には本国という「帰国先・送還先」がまだあるということになります。そこで、永住者も下記の場合には、在留資格の取消しや退去強制の対象となります。
- 再入国関連:
- 再入国許可(みなし再入国許可含む)によらない出国をした場合
- 再入国許可によって出国し,再入国許可期限までに再入国しなかった場合
- みなし再入国許可によって出国し,出国後1年以内に再入国しなかった場合
- 在留資格取り消し事由:
- 不正に上陸許可又は永住許可を受けたこと
- 90日以内に新住居地の届出をしないこと
- 虚偽の住居地を届け出たこと
- 退去強制された場合(例):
- 無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者
- 薬物違反により有罪判決を受けた者
- 売春に直接関係がある業務に従事する者
- 再入国関連:
日本における活動に制限がない
永住者になると、日本における活動に制限がなくなります。他の就労資格では制限されている風俗関係での就労制限もなく、また、「就労しないという活動の自由」も得られます。
参考として、同じ無期限の在留資格である行動専門職2号と比較すると、この「就労しないという活動の自由」は永住者にはありますが、高度専門職2号にはありません。高度専門職2号では高度専門職としての就労をせずに6カ月在留すると、在留資格取り消しの事由に該当することになります。
社会的認知: 融資・奨学金を受ける際に有利になる
永住者となると、日本での定住性が社会的に認知されます。この認知で影響が大きいのは、お金を借りる場面です。
大多数の公的・私的な住宅ローンで借り手に関して、「日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方」という国籍・在留資格要件がついています。つまり永住者でない外国人材の場合定住性が低いと判断されローンの申し込みすらできないことになります。このような国籍・在留資格要件がついていない融資元もありますが、数が少なくまた金利等の条件も割高になります。
本サイトのブログでも書きましたが、永住者となると本人・家族が日本の奨学金の申し込みをすることができるようになります。この点も日本での定住性が評価・認知されていることが背景にあります。
永住許可の申請要件
永住許可の申請要件に関しては、以下の2つが一般公開されています。
- 法令:入管法二十二条(永住許可)
- 法務省・永住許可に関するガイドライン
これらの審査要件に基づき、自分が永住許可申請できるのか否かを手軽に診断できる簡易診断ツールを以下に記述しました。まずはこのツールで申請可否を自己診断してみると良いと思います。
永住許可の簡易診断ツール
診断1: 在留期間要件を満たしているか?
在留期間要件の原則は以下になります。
- 引き続き10年以上本邦に在留していること
- この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること
- 現在の在留資格が、その資格で付与される最長の在留期間であること
この要件で注意が必要なのは、「引き続き~~在留している」という条件です。これを言い換えると、「中断することなく継続して~~現在も~~在留している」ということになります。つまり、以下のような在留経歴をお持ちの方は永住申請をしても、(以下に述べる在留期間要件の例外に当てはまらない限り)この原則要件により不許可となってしまいます。
- 在留期間の通算が10年以上あるが、在留資格が消滅する形で途中で帰国していて、直近の在留期間のみでは10年に届かないケース
- 継続した在留期間が10年以上あり、更に就労資格で継続5年以上在留していたが、現在は(例えばMBA取得のために)留学資格に切り替えているケース
期間要件の例外:「10年・5年」要件
以下に該当する方は、より短期間での永住許可申請が可能となります。全て、「〇年以上」に「継続して在留している」という継続・現在形の条件が付きます。
- 配偶者(日本人、永住者及び特別永住者の):婚姻生活が3年以上継続し,かつ,1年以上
- 実子(日本人、永住者及び特別永住者の):1年以上
- 定住者・難民:5年以上
- 高度専門職70点以上相当:3年以上
- 高度専門職80点以上相当:1年以上
- 「外交、社会、~貢献~認められる者」:5年以上
- 「地域再生法~貢献~認められる者」:3年以上
期間要件の例外:「最長の在留期間」要件
この「最長の在留期間」が3年よりも長い資格(例:5年 技術・人文知識・国際業務)の場合でも、当面,在留期間「3年」を有する場合でも、「最長の在留期間を有している」ものとして取り扱うこととするとされています。
診断2: 身元保証人を引き受けてくれる人がいるか?
身元保証人は必須要件です。身元保証人になってくれる人がいないと、永住申請はできませんのでまずは以下の要件を満たし、身元保証人になってくれる方を探しておく必要があります。
身元保証人の要件:
- 身分要件: 日本人、又は(外国籍の場合は)永住者 であること
- 収入要件: 安定した収入があること(目安:年収300万円以上、申請人の年収と同程度かそれ以上あることが望ましい)
身元保証人の保証責務:
民法などで規定されている債務の連帯保証人とと異なり、保証の程度は限定的です。法務省の身元保証書様式に署名・押印してもらいますが、その文面(下記に引用)にあるように保証の対象は以下の3つとなります。
- 本人が困窮した場合、日本での生活に必要な滞在費
- 本人が母国に帰国又は送還となった場合の帰国旅費
- 本人が日本の法令を遵守するように指導すること
また、保証の程度も法務省のQ&Aにあるように道義的責任にとどまります。
身元保証人を引き受けてくれる人が見つからない!
配偶者が日本人でその配偶者が身元保証人になる場合を除き、上記のように比較的「軽い」責務にも拘らず、身元保証人を引き受けてくれる人を見つけるのは大変で時間もかかります。これには以下の背景があります。
- 身元保証人という呼び名が、責務が重く被保証人の借金の返済義務まで負うような「連帯保証人」をイメージさせ、しり込みされてしまう。
- 身元保証人になると収入を証明する書類(源泉徴収票、確定申告書など)の提出が必要となるが、その開示に抵抗感がある。
外国人の友人から依頼があり、身元保証人になることを迷っておられる方がおられれば、ご連絡ください。小職がご説明申し上げます。
永住者の代替案:高度専門職相当の人材の場合
上記のように、高度専門職相当の方は3年・1年という短期の在留期間で永住申請が可能となります。但し、在留歴が浅いので、身元保証人になってくれる日本人や永住者の友人がまだ得られていないケースがあります。こういった方の場合、一旦は永住者と同じく「無期限の在留資格」が得られる高度専門職2号を目指すのも選択肢として考えられます。
つまり、高度専門職1号の資格を取りそれで3年継続した後に、高度専門職2号を取得するというものです。高度専門職1号・2号には永住者にない利点(親の帯同が一定条件で許されるなど)もあります。しかし、この代替案の欠点は高度専門職の日本社会での認知度が低いことにあります。従いまして、上述の「社会的認知による融資・奨学金で日本人と同等の扱いを受ける」という永住者の利点が簡単には受けられない可能性が高いと思われます。
その他の点で永住者と高度専門職とを比較した記事をブログに掲載してありますので、ご興味のある方は参照してください。
診断3: 生計の経済的基盤は十分で安定しているか?
申請人本人の所得が、日本での生活を安定的に送るのに十分かどうかが審査されます。絶対額で明示された基準はありませんが、過去のケースから「十分」とみなされる所得の最低金額の目安は、「年収で、300万 プラス 60万 x扶養家族人数分」程度と言われています。(つまり、扶養家族が2名いる人は、300+60 x 2=420万円)。また、その金額以上の所得が安定的に得られているか否かも審査れます。
以前は直近3年分の所得を立証する資料の提出が求められていましたが、2019年7月からはそれが直近5年分になりました。つまり、過去5年間にわたる所得状況で「安定性」が審査されることになります。
診断4: 公的義務(入管法の上の義務、納税義務、社会保険料負担義務、など)を果たして来ているか?
日本での公的義務の履行が審査で問われます。この審査ポイントにおいても、2019年7月から以下のように提出書類が増えていますので、より長期間にわたって、広範囲の公的義務の履行が審査対象になっていることが判ります。
- 納税証明:提出する立証資料の期間が、直近3年間 から 直近5年間へ と長期化
- 対象税目:以前から求められていた住民税の納税に加えて、国税(所得税・消費税・相続税・贈与税)の納税の立証が必要となった
- 社会保障保険料:新たに社会保障(厚生年金・国民年金・健康保険)の保険料の過去2年間の納付状況の立証が必要となった
また、入管法上の義務の代表的なものには以下があります。詳しくは 法務省の出入国管理及び難民認定法関係手続 のページを参照ください。
- 在留資格の適正な管理(認定・変更・更新・再入国許可・資格外活動許可など)
- 各種変更手続き(住所地・所属機関・配偶者・その他在留カード記載項目)
- 在留カードの管理(携帯・提示・更新(永住者・高度専門職2号対象)など)
これらの公的義務に未履行なものがある場合には、早急に履行して審査上のマイナス評価をリカバリーしてゆくおくことが必要になります。
診断5: 法令違反で刑罰を受けたことがないか?
永住申請のガイドラインでは「罰金刑や懲役刑などを受けていないこと」となっています。これをより詳しく述べますと、以下となります。
- 日本国の法令に違反して,懲役,禁錮又は罰金に処せられたことがないこと
- ただし、「処せられたことがある者でも下記の一定期間経過すると処せられたことがないものとして扱う」とされています。
- 懲役・禁錮:10年経過
- 執行猶予:5年経過
- 罰金:5年経過
永住許可申請の所要時間と必要書類
所要時間
法務省のホームページでは「標準処理時間:4ヵ月」となっています。しかし、申請者が多い東京出入国在留管理局の場合、申請後、結果の連絡を受けるまでに6~12か月程度の時間が掛かることがあります。
このように結果が出るまでに時間がかかるので、それまでに現在の在留資格の有効期間が満了してしまう場合も多々あります。この場合は永住申請と並行して現行の資格の在理期間更新許可を済ませておく必要があります。更新の際に在留カードのID番号が新たに振り出されて変わるので、更新許可が下り新なID番号を入手した後に、それを永住許可申請書に書き出して提出するのが良いと思われます。
必要書類:
2つの種類の書類が申請に必要となります。
- 共通資料
- 現在の在留資格に応じた資料
この2つに加えて、高度専門職相当として申請する場合には以下の種類の書類も必要になります。
- 高度専門職ポイントの立証資料
共通資料
現在の在留資格に関わらず、以下の資料は提出が求められています。
- 永住許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 世帯全員の住民票
- 身元保証に関する資料
- パスポート(提示のみ)
- 在留カード(提示のみ)
現在の在留資格に応じた資料
以下の資料は、現在の在留資格により必要性の有無や対象年数が異なります。
- 身分関係を証明する資料
- 職業を証明する資料
- 所得及び納税状況を証明する資料
- 公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- 資産を証明する資料
- 日本国への貢献に係る資料(任意)
詳細は 法務省・永住許可申請 のページ並びにそのページからリンクが張られている在留資格に応じた資料のページを参照してください。(当事務所に取次をご依頼される場合には、更に詳細な提出資料の一覧表を共有させていただき、それを基に資料の準備をサポートいたします)。
高度専門職ポイントの立証資料
高度専門職(相当)としての特例を使い、短期の3年・1年の在留期間で永住許可申請をする場合には、高度専門職ポイントを立証するための資料がさらに必要になります。
- 高度専門職ポイント計算表(永住申請時点のもの、3年・1年前の時点のもの)
- ポイント計算の各項目に関する疎明資料
詳細は、法務省 高度専門職ポイント計算表概要(PDF) と 高度専門職ポイント詳細・疎明資料例(エクセル) を参照してください。
当事務所にご依頼いただく場合の進め方
サービスは以下の3つのフェーズに沿って、提供されます。
- 評価フェーズ
- 見積・契約フェーズ
- 業務遂行フェーズ
永住申請の評価フェーズ・見積フェーズは、無料となります。契約後は以下の費用が掛かります。
進め方の詳細はこちらを参照ください。
永住許可の申請準備サービス
上記の 1. 評価フェーズ で、「公的な健康保険や年金の保険料の支払い状況に問題があり、不許可の可能性が高い」と診断させていただく場合があります。その場合には、保険料の支払い方法を口座振替などに変更して、1〜2年後、支払い状況を改善してから申請することをお勧めしています。さらに、保険料支払いの口座振替などに変更する際のサポートが必要な方には、社会保険労務士として永住許可の申請準備サービスを提供しています。
当サービスの詳細は「永住許可の申請準備サービス」をご覧ください。
永住申請:不許可の時の面談同席サービス
永住許可申請が残念ながら不許可になってしまった場合、入管庁で面談を申し込み、不許可理由をヒアリングすることができます。不許可通知にはその理由が具体的に書かれていないことが多いので、永住許可の再申請を行う予定の方は是非、面談を申し込み不許可の理由の説明を受けることをお勧めいたします。理由を理解せずに再申請しても、同じ理由でまた不許可になってしまう可能性が高いです。この面談では書面のやりとりはなく、日本語による口頭のみの形式で行われ、録音などはできません。日本語に自信のない方は、行政書士などの同席を検討してみてください。当事務所では、申請取次を行なっていない場合でも不許可理由の面談での同席サービスを、地域限定(東京、神奈川、千葉、埼玉の各都県にお住まいの方のみ)でお引き受けいたします。
当サービスの詳細は「永住許可:不許可の時の面談同席サービス」をご覧ください。
永住申請の費用(経費と報酬)
当事務所にご依頼される場合の、費用について以下に記述いたします。
申請にかかる費用は必要経費と報酬の合計額となります。
申請費用=必要経費+報酬
必要経費
- 手数料 8,000円(許可が下りた場合に、法務省・入出国在留管理庁に支払います)
- 交通費 実費
- 翻訳料 2,000 ~ 5,000円/ページ (翻訳が必要な場合のみ。文字数の少ない文書は値引きさせて頂きます。)
標準報酬
報酬として以下の金額を頂戴いたします。
(基本料金+追加料金) x (100%-割引率)
- 基本料金:150,000円
- 追加料金: 50,000円
- 「不許可の場合のヒアリング同行」サービスを追加される場合
同居家族分の同時申請割引
上記は本人・同居家族で同金額となります。但し、同居家族分の同時申請される場合は以下の割引が適用されます。
- 割引率:30%
- 配偶者又は子(16歳以上):フルタイム又はパートタイムで働いている場合
- 割引率:70%
- 配偶者又は子(16歳以上):働いていない場合
- 割引率:90%
- 子(16歳未満)
基本料金に含まれるサービス
基本料金には以下のサービス提供が含まれています。
- 申請要件の該当性評価
- 申請手続きのコンサルティング
- 書類のチェック
- 理由書の作成指導
- 入管への申請提出
- 入管からの追加要請への対応
- 入管での認証手続き
報酬額の計算例
1)本人のみ
報酬額=(150,000円+0円) x (100%-0%)
=150,000円
2)本人と家族2名分(配偶者と子16歳未満1名)の同時申請
本人分
報酬額=(150,000円+0円) x (100%-0%)
=150,000円
配偶者分
報酬額=(150,000円+0円) x (100%-70%)
=45,000円
子16歳未満分
報酬額=(150,000円+0円) x (100%-90%)
=15,000円
報酬額合計=150,000円+45,000円+15,000円
=210,000円
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