このページでは、在留資格の高度専門職の申請に関して、以下の内容が記載されています。
記事の中で法務省などの外部サイトへのリンクが記されています。執筆時点での最新版をリンクしていますが、その後より新しい版が出ている可能性がありますので、下記の法務省・入管庁の高度人材サイトで更新版の確認することをお勧めします。
高度専門職の概要
高度専門職: 位置付け
世界には「高度な技術を身に付けた外国人材や高収入高資産の外国人材に対して優遇した在留許可を与える」という入国管理政策をとっている国が数多くあります。日本でも同様な政策があり、2012年に高度専門職の前身の特定活動資格としての高度人材ポイント制の運用が始まり、その後、2015年には更に高度専門職の在留資格が創設・施行されました。
高度専門職と通常の就労系資格との関係
高度専門職は通常の就労系の在留資格の上位に位置します。つまり、通常の就労系資格に該当する者の内、高度人材ポイントが70点以上の者に優遇措置付きで交付される在留資格となっています。
言い方を変えると、就労系の資格以外の在留者は高度専門職への変更許可申請をすることはできません。
- 高度専門職を申請できる就労系資格
- 教授、芸術、宗教、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能
- 高度専門職を申請できない資格
- 外交、公用、特定技能、技能実習、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在
高度専門職の分類
高度専門職には4つのタイプ、1号イ・1号ロ・1号ハ・2号、が規定されています。それらは以下の2次元の分類方法により区分けされています。
高度専門職: 時系列による分類 (1号 2号)
高度専門職には1号と2号の二つの関連する在留資格が設けられています。この内、2号に在留資格を変更できるのは、高度専門職1号として3年以上在留した者のみに限定されます。この「高度専門職1号での3年以上」の要件を満たすことなく、他の在留資格から直接、高度専門職2号に変更することはできません。
高度専門職1号 での3年以上の在留実績 → 高度専門職2号
このように、高度専門職2号とは、高度専門職1号の「次の資格段階」という位置づけにあり、永住者と同様な無期限の資格や就労制限がほぼ無くなるといったより大きな優遇措置が与えられます。詳細は下記の高度専門職のメリットを参照ください。
高度専門職1号: 活動分野による分類 (イ ロ ハ)
また、1号には専門職の活動に応じて3つの類型が用意されています。この3つの類型は日本語では「イ、ロ、ハ」と識別子が付きまず。このイロハは英語では「a, b, c」という識別子に訳されています。これらの類型と主に対応する就労系在留資格との関係は以下の通りとなります。
- イ: 高度学術研究活動
- 対応する主な在留資格:教授、研究、教育
- ロ: 高度専門・技術活動
- 対応する主な在留資格:技術・人文知識、企業内転筋、教授、芸術、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、介護、興行、宗教、技能
- ハ: 高度経営・管理活動
- 対応する主な在留資格:経営・管理、法律・会計業務、興行
高度専門職のメリット
日本の高度専門職資格を持つ外国人材に付与されている優遇措置には以下があります (引用元: 入管庁「高度人材ポイント制による出入国在留管理制度上の優遇措置」)。
出入国在留管理上の優遇措置の内容
高度専門職1号の場合
- 複合的な在留活動の許容
- 在留期間「5年」の付与
- 在留歴に係る永住許可要件の緩和 (10年要件が3年に短縮)
- 配偶者の就労要件の緩和
- 一定の条件の下での親の帯同
- 一定の条件の下での家事使用人の帯同
- 入国・在留手続の優先処理
高度専門職2号の場合
- 「高度専門職1号」の活動と併せて、ほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
- 在留期間が無期限となる
- 高度専門職1号の3から6までの優遇措置が受けられる
- 入国・在留手続が不要になる (例外: 再入国許可、所属機関変更の届出、在留カードの更新(7年毎))
高度専門職1号または2号で高度人材ポイントが80点以上の場合
高度人材ポイントが80点以上で高度専門職1号又は2号の資格を取得した方が、その後1年以上経過後の状況でもポイント80点以上を維持している場合、上記の「在留歴に係る永住許可要件の緩和」の「3年に短縮」が更に短くなり、「10年要件が1年に短縮」となります。
要約すると、高度人材ポイントが80点以上の高度専門職資格保持者は、他の要件を満たせば、1年間の在留期間だけで永住許可申請ができるということになります。
高度専門職と永住者資格の比較
本サイトの高度専門職資格と永住者資格を比較した記事を参照ください。
高度専門職1号のデメリット
上記のようなメリットがある高度専門職ですが、1号のみに当てはまるデメリットが一つあります。それは転職などの理由で勤務先が変わる場合は、在留資格変更許可申請により新しい所属機関での高度専門職1号の資格許可を取得し直す必要がある点です。高度専門職1号の場合、「法務大臣が指定する公私の機関」での活動を前提にの資格が付与され、その機関が指定書で規定されます。転職をするとその「指定された機関」が変わるので、変更許可申請が必要になるという訳です。
通常、就労系の在留資格では転職に際には、活動の種類や内容が変わらない場合(例: IT技術者が転職したが、転職先でもIT技術者として就労するなど)、所属機関に関する届出を行い、場合によっては更に就労資格証明書の交付を受けることで、在留許可の取り直しをせずに転職が可能となります。しかし、高度専門職1号ではこのような簡便な手続きは用意されておらず、資格変更許可申請が必要となります。
高度専門職の申請要件
高度専門職1号
高度専門職1号の認定や他の資格からの変更を申請するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 就労系の在留資格に該当する
- 就労系の在留資格を既に保有している、又は
- 就労系の在留資格の認定を受けることができる
- 高度人材ポイントが70点以上である
高度専門職2号
高度専門職2号の申請要件には、上記の二つに加えて以下の要件の充足が必要になります。
- 高度専門職1号の資格者として3年以上の在留歴があること
- 注記:基本的には、現在、高度専門職1号である者からの変更許可申請が想定されています。しかし、過去、高度専門職1号で3年以上の在留歴があり、その後、別の在留資格であった者でも高度専門職2号への変更の許可申請を出すことが可能、とされています。
高度専門職申請の所要時間と必要書類
所要時間
初回入国の場合(認定申請)と他の資格からの変更申請とに場合で、標準処理時間は以下とされていますが、実際にはこの標準処理時間の2倍程度の時間がかかることもあります。
- 初回入国(資格認定申請): 1カ月から3カ月
- 資格変更申請: 2週間から1カ月
入国・在留手続の優先処理
上記のメリットの一つに、高度外国人材に対する入国・在留審査は,優先的に早期処理が行われることがあり、以下のように入管庁のウエブサイトに記載されています。
・入国事前審査に係る申請については申請受理から10日以内を目途
・在留審査に係る申請については申請受理から5日以内を目途
しかし、公表されている実際の在留審査の平均処理時間の統計を見ると、必ずしもこの通りには時間短縮できていない印象を受けます。従いまして、時間に余裕を持って申請をされることをお薦めいたします。
必要書類
申請に必要な書類は、以下の2つのグループに分類されます。
- 対応する就労系の在留資格申請で必要になる資料
- 高度人材ポイントの計算書とポイントを疎明する資料
対応する就労系の在留資格申請で必要になる資料
必要な書類は在留資格により異ります。詳細は下記のサイトをご参照ください。
高度人材ポイントの計算書とポイントを証明する資料
高度人材ポイントは上述の3つの類型(イ、ロ、ハ)ごとに表形式で規定されています。申請する類型と合致しているポイント計算書を用いる必要がある。詳細は下記のサイトをご参照ください。
- 出入国在留管理庁 ポイント計算一覧表 (PDF, 2022年1月現在)
- 出入国在留管理庁 ポイント計算表 参考様式 (エクセル, 2022年1月現在)
次に該当するポイント毎にそれを証明する資料を揃えることになります。ポイント証明資料に関して、いくつかの留意点を以下に書き出します。
年収
- 直近の過去の年収実績額ではなく、申請日以降1年間の将来の年収見込み額に関して、勤務先などから証明書を発行してもらう
- 年収見込み額には、基本給や賞与のみを算入し、時間外手当などの変動する手当や、課税対象でない通勤手当・家族手当・住宅手当など労働の対価でなく実費弁償的な手当は算入しない
- 1号ロと1号ハのみ、申請要件としての「年収見込み額が300万円以上」という前提条件が設定されている
- つまり、年収見込み額が300万円以上でないと、他のポイントでの合計点が70点以上であっても、前提条件を満たしていないので、高度専門職1号ロ・1号ハの資格は許可されません。
- また、年収のポイントを使わない場合でも、「年収見込み額が300万円以上」であることを疎明する資料の提出が必要となります。
職歴
専門職としての職歴の長さを証明するには、従事した職務と従事した期間を証明する文書を勤務先から正規に発行してもらう必要があります。通常の退職証明書には従事した職務まで書かれていないことが多いので、そのままでは職歴の証明としては不十分とみなされることがあります。
そのような場合は、再度、過去勤務した会社の人事部に職歴入りの退職証明書の発行を依頼することになるので、そのための時間的余裕を持もって申請のスケジュールを計画すると良いです。また、今後転職する際にも、この職歴入りの退職証明書を発行してもらうことを心がけることをお勧めします。
また、職歴には勤務地や勤務先の法人所在地に限定はありません。つまり、高度専門職にとしての職歴であれば、国内の職歴に限定されず国外の職歴も算入できます。更に、勤務先が国内法人の職歴に限定されず国外法人での職歴も算入できます。
世界のトップ300大学等を卒業している場合の10点加点
卒業した大学が以下のカテゴリーのいずれかに該当する場合、10点が加点されます。
- 大学ランキング
- 大学ランキング: クアクアレリ・シモンズ社(英国)、タイムズ社(英国)、上海交通大学(中国)の3つの世界大学学術ランキング
- 加点要件
- 日本以外の大学: 3つのランキングの内、2つ以上で300位以内の大学
- 日本の大学: 3つのランキングの内、1つ以上でランク付けされている大学 (ランク順位不問)
- 簡略な判定方法
- 上記の加点要件を満たす大学の一覧表を法務省が用意して定期的に更新しています。その一覧表に掲載されていれば、その大学の卒業は加点の対象となります。
- 執筆時点での一覧表の最新版はこちらになります(2021年9月版)。
- 文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業
- この事業においてトップ型またはグローバル化牽引型の補助金の交付を受けている大学
- 執筆時点では、トップ型で13校、グローバル化牽引型で24校の日本の大学が該当しています。
- 外務省のイノベーティブ・アジア事業
- この事業において「パートナー校」としての指定を受けている大学
- 執筆時点では、下記のアジアの国の60校が「パートナー校」に該当しています
- インド,インドネシア,カンボジア,スリランカ,パキスタン,タイ,バングラデシュ,フィリピン,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス
加点対象に大学に関して詳しく知りたい方は、この関連する投稿もご参照ください。
学術論文の数え方
1号イと1号ロで加点対象となっている研究実績の内、学術論文に関してはこちらのページをご覧ください。
当事務所にご依頼いただく場合の進め方
サービスは以下の3つのフェーズに沿って、提供されます。
- 評価フェーズ
- 見積・契約フェーズ
- 業務遂行フェーズ
永住申請の評価フェーズ・見積フェーズは、無料となります。契約後は以下の費用が掛かります。
進め方の詳細はこちらを参照ください。
高度専門職申請の費用 (経費と報酬)
当事務所にご依頼される場合の、費用について以下に記述いたします。
申請にかかる費用は必要経費と報酬の合計額となります。
申請費用=必要経費+報酬
必要経費
- 手数料 4,000円(許可が下りた場合に、法務省・入出国在留管理庁に支払います)
- 交通費 実費
- 翻訳料 2,500円/ページ (翻訳が必要な場合のみ。文字数の少ない文書は値引きさせて頂きます。)
標準報酬
報酬として以下の金額を頂戴いたします。
基本料金 + 追加料金
- 基本料金:100,000円 (税込み)
- 追加料金: 0 〜 50,000円 (税込み)
- 「不許可の場合のヒアリング同行」サービスを追加される場合に追加料金をお支払いいただきます。
基本料金に含まれるサービス
基本料金には以下のサービス提供が含まれています。
- 申請要件の該当性評価
- 申請手続きのコンサルティング
- 書類のチェック
- 理由書の作成指導 (理由書の提出をする場合)
- 入管への申請提出
- 入管からの追加要請への対応
- 入管での認証手続き
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