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既に帰国してしまった、又は、帰国予定の外国人材の方は、日本で支払っていた公的年金(国民年金・厚生年金)の保険料の脱退一時金の請求することができます。本ページでは以下の内容が記載されています。

脱退一時金のメリット

外国人材向けの「掛け捨ての救済」的な公的年金掛金の一部払い戻し

日本に中長期間滞在する場合は、外国人材の方も公的年金に加入しなければなりません(強制加入)。公的年金の保険料を支払っている外国人材の方が年金の受給要件を満たせずに帰国する場合に、支払った保険料の一部を「掛け捨ての救済」的に 払い戻す制度がこの公的年金の「脱退一時金」となります。

外国人材の方が、国民年金又は厚生年金保険に6ヶ月以上・10年未満加入した後に帰国して被保険者資格を喪失した場合、帰国日の翌日から2年以内の間は脱退一時金を請求することができます。

加入期間が5年以下の場合、払い戻し率は大よそ30%~50%

残念ながら、支払った保険料が全額戻ってくるわけではありません。一時金金額の計算方法は法令で規定されていて、外国人材一人一人の加入期間や保険料金額によって異なります。脱退一時金の金額計算の詳細は:国民年金の脱退一時金返還額厚生年金の脱退一時金返還額 を参照してください。

年金加入期間が5年以下の場合、支払った保険料総額の約30%から50%の金額が脱退一時金として請求者に支払われます。(厚生年金の場合、事業主が保険料の半分を負担しているので、脱退一時金の払い戻し率は5年以内の場合、実質、上記の割合の倍の60%~100%となります)。

国民年金の脱退一時金返還額厚生年金の脱退一時金返還額  にあるように、脱退一時金は年金加入期間が5年(60月)の時の金額が上限となっており、期間が5年を超えて増えても金額は増えません。従いまして、加入期間が5年以上となると、払い戻し率は逓減してゆきます。

脱退一時金の事例

  • 国民年金:5年加入した場合、脱退一時金は約 498,300 円 
    • (最後の保険料納付月が2021年度の場合)
  • 厚生年金:5年加入した場合、脱退一時金は約 2,108,300 円
    • (標準報酬月額が30万円、標準賞与額が50万円で年2回、保険料率が18.3% の場合) 

脱退一時金のデメリット

脱退一時金を受け取ると、日本の年金に加入していた記録が全てなくなり、未加入扱いになってしまいます。通常、年金加入期間は一生を通じて累積されますが、その累積保険加入期間が抹消されてしまうということになります。これは日本でまたは本国で年金を将来受け取る際に以下の点で不利になります。

  1. 年金受給資格を得にくくなる
  2. 年金の金額が減る

脱退一時金と社会保障協定との関係

社会保障協定の締結国出身の外国人材の方で年金加入期間の通算ができる方は、この不利な点(特に上記の#1の点)が日本の年金を受給する場面のみならず、出身国の年金の受給の際にも影響を及ぼすので注意が必要です。 また、脱退一時金の金額は3年以上の加入期間があっても増えませんが、脱退一時金を受けた際の「年金未加入扱いになる点」は対象となっている保険加入期間の全期間に及びますので、日本での年金加入期間が4~5年を超える場合には慎重に損得勘定をされることをお薦めいたします。

社会保障協定に関しては別のページで詳細をまとめましたので、ご参照ください。

脱退一時金の申請要件

脱退一時金の申請が可能な対象者は以下となります。

  • 日本国籍を有していない(日本国籍保有者はそもそも、脱退一時金請求ができません)
  • 年金加入期間が6月以上 かつ 老齢年金の受給権を有していないこと(通常、10年未満の加入期間であること)
  • 日本国内に住所を有していない(既に帰国している)
  • 帰国後、2年を経過していない

以下の方は脱退一時金を請求することができません。

  • 加入期間が6月未満 または (通常)10年以上
    • 6月未満:脱退一時金の請求不可
    • 10年以上:年金受給資格が生まれて、脱退一時金の請求が不可となります
  • 社会保障協定国出身の外国人材の方で5年未満の在留期間のため、日本の年金に加入していない場合

上記の最後の項目の社会保障協定と脱退一時金との関係の詳細をお知りになりたい方は、このページをご覧ください。

請求者が、請求後・支給前に、死亡した場合

請求者が脱退一時金の支給を受けずに死亡した場合 請求者の死亡当時生計を同一にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他 3 親等内の親族 が代わりに給付を受けることができます。

確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)の中途脱退は難しい

 公的年金(国民年金・厚生年金)の脱退一時金の記事は以上となります。一方、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)に加入されている外国人材の方もおられると思います。現在(2020年2月)、この確定拠出年金からの中途脱退は要件が厳しくそれを満たすことが難しく、脱退して一時金の支給を受けることができない場合がほとんどです。但し、「この問題点を改善すべきである」との議論が社会保障審議会でなされており、今後、要件が緩和され脱退一時金が得やすくなる法令の改正に向かうものと思われます。詳細はこちらのページをご覧ください。

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