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 本記事は最終月(資格喪失した日の属する月の前月)が2021年(令和3年)4月以降の方に適用される返還額となります。最終月が2021年(令和3年)3月以前の方に適用される返還額に関しては、こちらの「脱退一時金: 厚生年金の返還額(最終月・2021年3月以前)」の記事を参照してください。

 厚生年金の脱退一時金の返還額は下の計算式で算出されます。

厚生年金・脱退一時金の返還額=平均標準報酬額x支給率

 留意すべき点は以下となります。

  • 被保険者期間が6月以上ある方のみに脱退一時金が返還されます。
    • 6月未満の場合は脱退一時金の返還はありません。
    • 60月(5年)以上の場合は上限金額に達し、保険料納付済期間がそれ以上増えても脱退一時金の返還額は増えません。
    • 老齢厚生年金の受給期間を満たしている方は、脱退一時金の請求ができません。その代わりに、将来高齢になり受給年齢に達した時に老齢厚生年金を請求していただくことになります。
  • 国民年金での脱退一時金の返還額と異なり、約20%が所得税として源泉徴収され、残額約80%が送金されます。
    • 源泉徴収された所得税は、別途、還付手続きにより一部または全部の返還を受けることができます。
  • 平均標準報酬額: 被保険者期間中の保険料計算の基礎となっていた標準報酬月額と標準賞与額の総和を被保険者期間の月数で除した金額
    • 2003年3月以前は賞与から保険料が引かれておらず(総報酬制実施前)、その分、2003年4月以降と比べて毎月の給与に付加される保険料率も割高でした。2003年3月以前の被保険者期間を有する場合にはその分の調整が入ります。
  • 支給率:下記のように、被保険者期間に応じて支給率が決まります。
    • 被保険者期間 –> 支給率
    • 6月以上12月未満 –> 0.5
    • 12月以上18月未満 –> 1.1
    • 18月以上24月未満 –> 1.6
    • 24月以上30月未満 –> 2.2
    • 30月以上36月未満 –> 2.7
    • 36月以上42月未満 –> 3.3
    • 42月以上48月未満 –> 3.8
    • 48月以上54月未満 –> 4.4
    • 54月以上60月未満 –> 4.9
    • 60月以上     –> 5.5

事例:

平均標準報酬額が30万円、厚生年金被保険者期間月数が48月(4年)で、その期間の最終月が2021年4月以降の場合は、返還金額は以下の式で計算され、1,320,000円 となります。

脱退一時金・返還金額 = 平均標準報酬額 x 支給率 = 300,000円 x 4.4 =1,320,000円

以上